米津玄師から藤井風まで,20年代のヒット20曲を選んだらエモい

趣味・エンタメ

2020年以降の日本のヒット曲

今回の記事では、2020年以降に日本でヒットした曲を、私の独断で20曲紹介します。基準は、YouTubeまたはSpotifyの再生数が1000万回以上、あるいは近く達成しそうな曲。正直ハードルは低めですが、誰もが知る大ヒットを除くため意識的に1億回超は外しました。リリース後間もない曲も含むのであくまで目安とお考えください。

結果、私の趣味が大いに反映された偏った選曲となるかもしれません。それでも構わなければ、最後までお楽しみください。記事末にはSpotifyのプレイリストもあります。なお、楽曲は新しい順で紹介します。

1. 米津玄師『Azalea』

米津玄師 Kenshi Yonezu - Azalea

リリース: 2024年11月18日
関連作品: Netflixドラマ『さよならのつづき』主題歌

この曲については、私があまりにも好きすぎるため、別の記事で詳しく書いていますので、そちらをご覧ください。この曲はドラマ公開に合わせて11月にリリースされましたが、実は8月リリースの最新アルバム『LOST CORNER』よりも前に制作されていたようです。また、「君じゃなきゃいけない理由などありはしない」という“代替可能性”のテーマにも触れられています。このテーマは米津玄師の楽曲でたびたび取り上げられるモチーフの一つです。

2. Vaundy『風神』

風神 / Vaundy (TBS系金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』主題歌) / Vaundy:MUSIC VIDEO

リリース: 2024年10月12日
関連作品: TBSドラマ『ライオンの隠れ家』主題歌

ドラマのオープニング映像とMVの両方で、Vaundy自身が監督を務めています。アーティスト自らMVを監督するのは日本では珍しいことですが、今回で4作目となり、今後もアートワーク全般を通してメッセージを発信していく姿勢が感じられます。

楽曲のテーマは、人は誰もが風をまとう“風神”のような存在であり、その風によって互いを傷つけ合うことがあるというものです。しかし、この痛みは単なる苦しみではなく、コミュニケーションそのものであり、人が共に生きていく理由でもある――そんなメッセージが込められています。

「人とかかわる限り傷つけ合う」というのは、多くの人が生きる中で実感することです。年齢を重ねるほど、その認識は強まるかもしれません。しかし、それを「風」に例える発想は独特で、新鮮だと感じます。風は冷たくて痛いこともあれば、温かくて心地よいこともある。その感じ方が自分の状況や心の在り方に左右される点は、人との関わりにも通じているように思います。

3. ずっと真夜中でいいのに。『海馬成長痛』

ずっと真夜中でいいのに。『海馬成長痛』MV (ZUTOMAYO – Hippocampal Pain)

リリース: 2024年8月29日

ずっと真夜中でいいのに。の2024年の話題曲といえば、間違いなく大人気アニメ『ダンダダン』のエンディングテーマである『TAIDADA』でしょう。しかし、個人的には『海馬成長痛』の方が好きです。特に、韻を踏み続けるサビの歌詞は一度聴いたら忘れられない魅力があります。

さらに、ずっと真夜中でいいのに。は今年、ライブ音源もリリースしています。2時間を超える大作ですが、通して聴いても飽きることなく、最後まで楽しませてくれる作品です。映像のない音源をこの情報過多の時代にじっくり聴き続けるのは難しいと感じる人も少なくないでしょう。しかし、このライブ音源はそのハードルを軽々と越え、聴く者を引き込む力を持っています。

4. ヨルシカ『憂、燦々』

リリース: 2024年8月28日

この曲のオリジナルは、2013年にリリースされたクリープハイプの楽曲です。2024年8月、クリープハイプのトリビュートアルバムが発売され、多くのアーティストが名曲をカバーしましたが、その中でもこの曲は特に輝いていると感じました。2013年のオリジナルの楽曲は、資生堂の日焼け止めのCMソングにも使われていて、そのインパクトが今でも印象に残っています。

オリジナルがリリースされた当時、私はまだ20代で、この曲の歌詞がやけに胸に刺さったのを覚えています。そして10年以上経った今、ヨルシカがリメイクしたこの曲を聴いて、やっぱり同じようにエモさを感じました。もしかすると、私の精神年齢があの頃とあまり変わっていないのかもしれません。それか、ヨルシカがこの曲の持つエモさをさらに引き出してくれたのかもしれません。

5. 羊文学『Burning』

羊文学 - Burning (Official Music Video) [TVアニメ「【推しの子】」第2期エンディング主題歌]

リリース: 2024年7月3日
関連作品: 『推しの子』第2期エンディングテーマ

この曲はアニメ『推しの子』第2期のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲です。『推しの子』といえば、第1期のオープニングテーマであるYOASOBIの『アイドル』が空前の大ヒットを記録したことが記憶に新しいですね。

個人的にも、このアニメは特に2期が好きで、全話を一気に1日で見終わるほど面白かったです。そして毎話のラスト、エンディングに入る瞬間――イントロのドラムが鳴り、歪んだギターが流れ出すあのシーンには、毎回「ここで終わるか…!」とうならされました。

また、この楽曲はアニメのテーマ曲としては異質とも言えるほど新鮮なサウンドです。歪んだギターの響きが、アニメ作品の主題歌としては珍しく、強く耳に残ります。『推しの子』は第1期のエンディングでもロックバンドの女王蜂を起用するなど、音楽面でも大胆なチャレンジを重ね、それが見事に成功していると感じます。

6. 米津玄師『さよーならまたいつか!』

米津玄師 - さよーならまたいつか! Kenshi Yonezu - Sayonara, Mata Itsuka !

リリース: 2024年4月8日
関連作品: NHK朝ドラ『虎に翼』主題歌

この曲は、2024年を代表する一曲と言っても過言ではありません。毎日放送される朝ドラの主題歌ということもあり、多くの人の耳に自然と残るでしょう。毎朝流れることを意識して、軽やかで耳なじみの良いサウンドを心がけたそうで、確かに米津玄師の楽曲としては軽快さが際立ち、爽やかな朝にぴったりです。

さらに、この曲では日本の有名な俳人、種田山頭火の俳句の一部が歌詞に引用されており、その点でも大きな話題を集めました。耳に残るメロディーだけでなく、歌詞に込められた深い意味や日本文学へのオマージュが、多くの人の心を引きつけたのではないかと思います。

7. Awich, NENE, LANA, MaRI, AI & YURIYAN RETRIEVER『Bad B*tch 美学 Remix (Prod. Chaki Zulu)』

Awich, NENE, LANA, MaRI, AI & YURIYAN RETRIEVER - Bad B*tch 美学 Remix (Prod. Chaki Zulu)

リリース: 2023年7月19日

Awich、NENE、LANA、MaRI、AI、そしてYURIYAN RETRIEVERによるマイクリレーが最高です。全員が個性的すぎて、まるで戦隊ヒーローのレンジャーが大集合したような雰囲気。個人的に好きなのは、LANAの独特な声質で歌われるフックですが、特に話題になったのは、最後に登場する芸人・ゆりやんのパートです。

ここでは著作権の関係で歌詞を書くことはできませんが、一度聴いたら絶対に忘れられないライン。攻めた歌詞とインパクトのあるパフォーマンスが印象的で、日本の数少ない生放送音楽ライブ番組に出演した際にも大きな話題を呼びました。

8. Official髭男dism『TATTOO』

Official髭男dism - TATTOO [Official Video]

リリース: 2023年4月21日
関連作品: TBSドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』主題歌

この曲はTBSの金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』の主題歌として書き下ろされました。ドラマでは、東京で電車に乗っていた乗客たちが突然、未来の荒廃した世界にタイムスリップし、助け合いや裏切りを繰り返しながら生き抜こうとする姿が描かれています。正直に言うとドラマは最後まで観られなかったのですが、この主題歌だけは気に入ってよく聴いていました。

曲名の「TATTOO」は、日本ではいまだにヤクザや不良といったイメージが根強いため、初めて知ったときは意外性がありました。ただ、歌詞を見てみると、もちろんタトゥーそのものをテーマにしているわけではなく、「TATTOO」は消えないもの、消せないものの象徴として使われています。さまざまな解釈ができると思いますが、私はこれを人間としての“良心の刻印”のようなものとして捉えました。

【公式】中森明菜「TATTOO-JAZZ-」

余談ですが、2024年には中森明菜の1988年のヒット曲『TATTOO』がセルフカバーされ、YouTubeで公開されました。こちらも当時大きな話題を呼び、2024年のヒット曲の一つとして注目されました。直接関係はありませんが、「TATTOO」という共通のタイトルが、異なる形で話題性を持つのは興味深い偶然ですね。

9. King Gnu『Stardom』

リリース: 2022年11月17日
関連作品: NHKサッカーテーマソング(2022年ワールドカップ)

個人的にはサッカー熱がそれほどある方ではないのですが、2022年のワールドカップは特に印象的でした。日本代表は、死のリーグと呼ばれ予選敗退が濃厚視されていた中、ドイツとスペインという強豪国を破り、見事1位で予選を通過しました。ラウンド16のクロアチア戦でも善戦し、惜しくもPK戦で敗れたものの、「あと一歩で…」という気持ちと、またしてもかという悔しさが残る大会でした。

こうした日本代表の挑戦は、2018年のワールドカップでも見られました。BEST8をかけたベルギー戦では2点を先制し、「これはいける」と思った瞬間、一気に3点を奪われ逆転負けを喫するという惜しい結果に終わっています。こうした歴史があるからこそ、「Stardom」の歌詞に込められた「悔しさを乗り越えて前に進め」というメッセージが、より心に響くのだと思います。

この曲には、「やれることはやっているから、あとは勝利の女神の気分次第。そろそろ微笑んでくれてもいいんじゃない?」というユーモラスなニュアンスも感じられます。また、楽曲の随所にKing Gnuのフロントマン・常田大希率いるmillennium paradeの『Fly with me』(2020年)のオマージュが見られる点も話題となりました。

10. STUTS & 松たか子 with 3exes『Presence I』feat. KID FRESINO

STUTS & 松たか子 with 3exes - Presence I feat. KID FRESINO (Official Music Video)

リリース: 2021年6月23日
関連作品: フジテレビドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』主題歌

この曲は、私が大好きなドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の主題歌です。主演の松たか子が自ら主題歌を担当していることも、この作品の大きな魅力の一つです。さらに、脚本を手がけたのは2023年のカンヌ国際映画祭で映画『怪物』の脚本賞を受賞した坂元裕二。この作品の独特な世界観を引き立てています。

主題歌としては、「Presence I」から「Presence V」までの5曲が用意され、それぞれ異なるラッパー(KID FRESINO、BIM、NENE、Daichi Yamamoto、T-Pablow)がフィーチャリングされています。さらに、演者がラップパートを担当したり、各ラッパーがドラマにカメオ出演していたりと、音楽と映像が密接に融合した挑戦的な試みが行われていました。

11. 宇多田ヒカル『PINK BLOOD』

宇多田ヒカル『PINK BLOOD』

リリース: 2021年6月2日
関連作品: アニメ『不滅のあなたへ』主題歌

この曲は、宇多田ヒカルがアニメ『不滅のあなたへ』のために書き下ろした主題歌です。宇多田ヒカルの歌詞には、いつも新しい視点やこれまで考えたことのなかったアイデアが散りばめられており、時代の一歩先を行っているように感じます。この曲も例外ではなく、聴き手に強いメッセージを投げかけています。

私がこの曲から感じたのは、シンプルながら力強いメッセージ、「お前の価値はお前が決めろ」ということです。これは極めてドライでまっとうなメッセージであり、「誰が何を言おうと、お前はお前でいい。だから堂々としていろ」というエールのように感じます。

また、人はときに答えを求めてさまよい続けるような感覚に陥ることがあります。しかし、この曲は「答えを探して迷わなくても大丈夫。あなたがここにいるだけで、それだけで十分意味があるんだよ」と優しく語りかけてくれるようです。そのメッセージは、多くの人の心に響く普遍的な力を持っています。

12. 星野源『不思議』

星野源 – 不思議 (Official Video)

リリース: 2021年4月27日
関連作品: TBSドラマ『着飾る恋には理由があって』主題歌

この曲はTBSのドラマ『着飾る恋には理由があって』の主題歌です。意図したわけではないのですが、なぜかTBSのドラマ主題歌ばかり選んでしまっています。このドラマ自体は見ていないのですが、恋愛ドラマということで、この曲も恋愛をテーマにしているようです。

星野源は、恋愛の歌詞を書くことに少し照れを感じていると語ったことがあります。そのせいか、この曲は恋愛ソングであることが明確でありながら、直接的な表現をうまく避けつつ「好き」という気持ちを表現しているように感じます。サビで歌われる「好きを持つ」というフレーズはその象徴的な例でしょう。日本語として「自分の中に好きを持つ」という表現は少し不思議で、それが誰かに対する想いを示していると考えると、なおさら新鮮な響きを感じます。「恋がある」という言い回しも、どこか照れ隠しのようで独特な印象です。

だからこそ、この曲は恋愛を客観的に捉え直せる面白さがあります。恋愛ソングに心をえぐられるような生々しさではなく、どこか自分の記憶の片隅にある「いつか見た景色」のように、恋愛を静かに思い出させてくれる。そんな感覚が、この曲の魅力だと感じます。

13. King Gnu『泡』

リリース: 2021年3月5日
関連作品: 映画『太陽は動かない』主題歌

この曲は、King Gnuの前身バンドであるSrv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)時代に作られた楽曲をリメイクしたものです。個人的には、この曲にどハマりして夜の街を徘徊しながらよく聴いていた思い出があります。

ただ、彼らのファン層の規模を考えると、再生数がそこまで伸びていないのが少し残念なところです。もっとこういった曲が増えたらいいなあと個人的には思います。

それでも、MVは本当に素晴らしい仕上がりです。俳優でありダンサーでもある森山未來が出演し、その独特の魅力が高密度で詰まった作品になっています。ぜひ一度ご覧いただきたいMVのひとつです。

14. ¥ellow Bucks『Balls Out』feat. MIYACHI & Shurkn Pap

¥ellow Bucks - “Balls Out” feat. MIYACHI & Shurkn Pap [Official Video] (Dir. by Spikey John)

リリース: 2020年8月21日

個人的にはスローでゆるい日本語ラップが好みですが、¥ellow Bucksには疾走感がありつつも、言葉選びが巧みで歌詞がしっかり聞き取れるという魅力があります。声質は適度にざらつきがありながらもクリアで、耳に届きやすいのだと思います。それに、単純に声そのものが魅力的で、何度聴いても飽きない心地良さがあります。

『Jungle』は、¥ellow Bucksの知名度を一気に高めるきっかけとなった重要なアルバムです。私自身も『Jungle』で¥ellow Bucksを知ったと記憶しています。2020年の作品ですが、この頃から日本でもヒップホップがストリーミングサービスの新曲プレイリストなどで目立つようになった印象があります。

やはり日本ではボカロやポップス、ロックが根強い人気を持つ中で、近年ラップ音楽が注目されるようになったのは大きな変化だと思います。

15. Creepy Nuts『かつて天才だった俺たちへ』

【MV】Creepy Nuts - かつて天才だった俺たちへ

リリース: 2020年8月19日

この曲は、同名のセカンドミニアルバムに収録された楽曲で、音楽アワード『MTV VMAJ 2020』にてBest Hip Hop Video(最優秀ヒップホップビデオ賞)を受賞しました。

歌詞では、社会に合わせて自分を整えるうちに、かつてあったはずの輝きを失い、気づけば「平均的な人間」になってしまうという、多くの大人が経験するであろうジレンマが描かれています。しかし、それだけでは終わらず、「人生はまだ続く」「遅すぎることなどない」と、他者や自分の思い込みに人生を支配されることを拒否するメッセージが続きます。

クリーピーナッツは、日本のヒップホップシーンで最も成功したアーティストの一組と言って間違いありません。テレビやラジオなどメディア出演も多く、知名度やセールスの面でも圧倒的な存在感を放っています。その人気の理由が、この『かつて天才だった俺たちへ』というタイトルにも象徴されているように思います。

多くのヒップホップアーティストが「俺たち」というとき、それは仲間を指すことが多いですが、この曲でクリーピーナッツが語る「俺たち」はもっと広い意味を持っています。それは、この曲を聴いているすべての人々を指し、「仲間」という枠を超えた視点で歌われているのではないでしょうか。そうしたより開かれた視点が、多くの支持を集める要因の一つなのだと思います。

16. 米津玄師『カムパネルラ』

米津玄師 - カムパネルラ Kenshi Yonezu - Campanella

リリース: 2020年8月5日

『カムパネルラ』は、2020年に日本で最も売れたアルバム、米津玄師の『STRAY SHEEP』の一曲目です。CDが売れなくなって久しい時代に、このアルバムは久しぶりにダブルミリオンを達成し、音楽を少しでも聴く人なら一度は目にしたことがある作品だと思います。私自身、15年ぶりにCDを購入しました。CDを再生する機器は持っていないので、歌詞カードを手に取りながらSpotifyで聴いたのですが、現物を手にし、アルバムを通して聴くという音楽体験を久しぶりに味わいたくなったのです。結果的にそれは良い選択だったと思います。

2020年の夏、コロナ禍の真っ只中、真夏日にマスクをつけて汗をだらだらとかいてタワーレコードへ足を運び、このアルバムを手に取ったことは、今でも鮮明に記憶に残っています。そういった情景も含めて、私にはこのアルバムが特別なものになっています。

このアルバムには、日本で最も再生されたMV『Lemon』も収録されていますが、この曲は2018年の作品です。今回は2020年以降の曲を紹介する記事ということで、アルバムのために作られた1曲目『カムパネルラ』を選びました。米津玄師はアルバムがほぼ完成した後、そのテーマを総括する楽曲を最後に作ることがよくありますが、『カムパネルラ』もまさにその一例です。

17. 藤井 風『優しさ』 

Fujii Kaze - YASASHISA (Official Video)

リリース: 2020年4月17日

この曲は、藤井風がファーストシングル『なんなんw』をリリースした翌年に発表した楽曲です。ファーストシングルを聴いたときは、「なんか凄そうな新しい人が出てきたな」というくらいの印象でしたが、その翌年にアルバムをリリースし、一気にスターダムへと駆け上がった感があります。

『優しさ』はアルバムリリース前の先行配信曲で、藤井風の人気が爆発する直前の、いわば”前夜”を感じさせるタイミングで発表されました。それまでのアーティストとは異なる歌詞やメッセージ性が印象的で、タイトルに『優しさ』という言葉を持ってくるのも、なかなか珍しいなと感じました。

藤井風は、2024年現在、最も世界で支持されている日本人アーティストの一人です。日本に住んでいる実感としても人気の高さを感じますし、とくにアジア圏での人気が際立っています。その火付け役となったのは間違いなく『死ぬのがええわ』です。まずタイでバズりアジア圏に波及しヨーロッパに渡りました。そして、2024年に米国でもゴールドディスク認定されています。

ベビーメタルやLamp、青葉市子など、日本でも一定の人気はありながら、圧倒的に海外からの支持が大きいアーティストは少なくありません。一方で、日本のアーティストは基本的に日本国内での支持が中心となる傾向があります(アニメソングは特例ですが)。そうした中で藤井風の場合は日本国内と海外の両方でほぼ同じ熱量で受け入れられているように感じます。現時点ではアニソンは作っておらず、そういった追い風がない点も特筆すべきポイントです。

藤井風の今後の活動は、日本の音楽シーンが世界にどのように受け入れられていくか、その一つの指標になるかもしれません。これからの可能性に大いに注目しています。

18. 秋山黄色『Caffeine』

秋山黄色『Caffeine』

リリース: 2020年3月3日

エレキギターをかき鳴らしながら歌う男性ソロアーティストは、日本では意外と少なく、当時はそのスタイルがとても新鮮に感じられたことを覚えています。さらに印象的だったのは、金髪に目が隠れるほど長い前髪という独特の風貌です。2024年現在のアーティストのトレンドとはかなり異なるスタイルでした。

たった4年前のことですが、日本の男性アーティストの中で一番変化したのは「前髪」ではないかと私は思っています。最近では、「前髪が長すぎて前が見えねえ」でおなじみの米津玄師ですら、前髪を上げるスタイルに変化しています。

秋山黄色 - Caffeine / THE FIRST TAKE

さらに、先日公開されたTHE FIRST TAKEで『Caffeine』を披露した際も、前髪を分けて眉や目がしっかり見えるスタイルでした。これも、グローバル化による影響なのかもしれません。

19. 東京事変『永遠の不在証明』

東京事変 - 永遠の不在証明

リリース: 2020年2月29日
関連作品: 映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』主題歌

この曲は、東京事変が2012年の解散から8年を経て再結成を果たした2020年の楽曲です。バンドの再生と同時に発表された「選ばれざる国民」に続いてリリースされ、まさに活動再開のスタートダッシュを飾る一曲となりました。

しかし、映画はコロナの影響で1年延期され、春から予定されていたツアーも中止に。東京事変の再結成は、当時の私にとって一つの”事件”でした。ただ、その喜びと興奮は、コロナ禍という予測不能な状況とどこか重なりながらも、微妙に噛み合わない感覚がありました。再結成というポジティブなニュースに対して、世の中は混乱し、不安が広がっている――そんな状況の中で、「今、それどころじゃないんじゃないか」という冷静でドライな気持ちが湧いてきたのを覚えています。

再結成のニュースは確かに嬉しかった。でも、その明るさと、映画の公開延期やツアー中止といった現実の暗さが同じ心の中で交錯していて、どこかチグハグに感じていたのだと思います。

20. eill『SPOTLIGHT』

eill | SPOTLIGHT (Official Music Video)

リリース: 2019年11月6日

この曲はeillのファーストアルバムのタイトル曲であり、アルバムの一曲目を飾る楽曲です。これからの自分自身の活躍を明るく照らす象徴のような、前向きな一曲だと感じます。

この記事では2020年から2024年までのヒット曲を紹介しているのですが、よくよく調べてみたところ、この曲は2019年11月リリースでした。年末ということでほぼ2020年だし、そこは大目に見ていただければと思います。コロナが認知され始めたのはその1か月後の12月なので、この曲自体はまだコロナ禍とは無縁のタイミングで生まれた楽曲です。

改めて今聴いてみると、この曲の明るさが際立ちます。この数年で変わったのはもちろんコロナだけではありませんが、「あれ?自分って、世界って、まだコロナから立ち直れていないのかな?いまだにセンシティブになりすぎているのか?」と、2024年現在、コロナ以前の心理状態がどんなだったかを思い出そうとしても、「はて?」と首をかしげてしまいます。

2019年の終わりにリリースされたこの曲は、東京オリンピックを控え、希望や期待感が漂っていた”2020年の入り口”に立っていた自分たちを思い出させてくれる、前向きで希望に満ちた一曲だと感じます。

2020年代私的ヒット曲を振り返ってみて

2020年代を振り返るということで、できるだけアーティストや時期をばらけさせようと思ったのですが、米津玄師が3曲も入るし、気づけば2024年の曲が多くなってしまいました。2022年の曲はたった1曲です。というのも、当時は一時的にSpotifyを解約してYouTube Musicを使用していた時期でもあります。やはりSpotifyの方が、新しい曲との出会いを促す仕組みが洗練されているように感じます。まあ、私自身があまりうまくYouTube Musicを使いこなせていなかったのかもしれません。

それでも、2020年以降のヒット曲を振り返る作業は案外面白いものでした。音楽と記憶はセットになっていることが多く、当時の自分を思い出すきっかけになりました。また、久しぶりに聴いたことで、当時の解釈とは異なる新たな魅力を再発見できた曲もありました。

ぜひ皆さんも、好きな年代やテーマで曲を振り返ってみてください。きっと面白い発見があると思います。最後に、今回紹介した曲をまとめたSpotifyプレイリストを載せておきますので、興味があればぜひチェックしてみてください!

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