J-POPの新たな潮流を感じた2020年代
先日公開した記事では、私の嗜好性を存分に注入した「2020年代の日本のヒット曲20選」を紹介しましたが、今回は少し趣向を変えて、本当に「ヒットした曲」を20曲選びたいと思います。
「あの曲、街中の至るところで流れてたな」とか、「映画の大ヒットとともに注目された曲」、あるいは「最近こればっか聴いてるんだけど?」みたいな曲たち。言うなれば、先日の記事が“裏面”だとしたら、今回は“表面”にあたる内容かもしれません。
もちろん、ヒット曲なんて数えきれないほどありますし、結局は私の嗜好が入り込んでしまうのは避けられません。でも、それはどうかご勘弁を! このブログは私の視点で書くからこそ意味があると思っていますし、「とにかく一番売れた曲が知りたい」なら、他のメディアの記事を見た方が早いですからね。
今回は、「私の主観」と「実際にめちゃくちゃ売れた曲」のミックス的なリストと思っていただければ。基準として、YouTubeかSpotifyのどちらかで1億回以上再生されている曲に絞ってご紹介します。それでは、2020年代のヒット曲たちを一緒に振り返りましょう!
こっちのけんと『はいよろこんで』
リリース日:2024年1月7日
アニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期オープニングテーマ
この曲は、リリースから瞬く間に人気を呼び、その風変わりなダンスとともに世界中でバズりました。リリースからわずか5日後に、アメリカのアリスタレコードと契約を結んだことをNHKの番組で知り、そのスピード感に驚きました。さらに、その番組内ではこの曲の人気がウクライナで始まったことにも言及しており、非常に興味深かったです。
かつての、日本でじわじわと流行してから世界に広がるパターンとは異なり、今回のように世界がまず日本の面白い曲に気づき、ムーブメントが起き得る時代になったのだと感じます。また、この曲を聴かせると子供たちが楽しそうに踊り出すという話も耳にしました。これは、万国共通の何かがこの曲に込められているのかもしれません。
Number_i『GOAT』
リリース日:2024年1月1日
日本最大の男性アイドル事務所を脱退し、3人で活動を始めたNumber_iですが、もともと人気のあるグループからの脱退だったため、ファンの心理は複雑だったのかもしれません。しかし、彼らがコーチェラ音楽フェスに出演したことで、この曲がブレイクし、大きな話題となりました。やはり、既存のファンベースが確立されていることは非常に強力な支えとなります。
3人が脱退した理由には、海外志向の強さが関係しており、その影響もあって音楽の作り方も日本向けではないように感じます。彼らの音楽はリッチなサウンドで、いわゆるJ-POPの感覚はあまりありません。それでも、活動の中心はまだ日本にあり、Spotifyのリスナーを見てもその多くは日本人です。つまり、本格的に海外展開を目指す過程にあるわけですが、音楽の作り方から見ても、今後の日本の音楽業界にとって彼らは注目の的であることは間違いありません。
tuki.『晩餐歌』
リリース日:2023年9月29日
私の家の近所にあるスポーツ用品店では、最新のヒット曲が常に流れており、この曲もその店を通るたびに何度も耳にしました。リリースは2023年ですが、チャート上位に長く留まり、2024年夏頃まで頻繁にさまざまな場所で流れていた印象があります。さらに、2024年のカラオケランキングでは年間3位を記録しています。デビュー曲で大ヒットを記録し、15歳という若さで活躍するシンガーソングライターという点で、個人的にはやはり宇多田ヒカルと重ねて考えずにはいられません。
宇多田ヒカルは14~15歳の1年間の製作活動の後、ファーストアルバム『First Love』をリリースし、日本国内だけで約800万枚を売り上げるという社会現象を巻き起こしました。近年では、ネットを通じて学生がアーティストとしてデビューしやすくなった流れもあり、新進気鋭の若手アーティストが増える中、彼女の成功は多くの若者にとって大きな目標となっています。
Ado『唱』
リリース日:2023年9月6日
USJ「ハロウィーン・ホラー・ナイト」とのコラボ楽曲
Adoは2022年の映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌全7曲を担当し、2023年の『唱』の大ヒットと紅白出場という快挙によって名実ともに日本の女性アーティストの頂点に立ったと言っても過言ではない活躍を見せました。この曲は、過去のAdoのヒット曲「踊」を作曲・編曲したGigaとTeddyLoidが担当しており、彼らのチーム編成は非常に相性が良く、今回もその証明となりました。
この曲は、まさにやりたい放題という感じで、さまじいエネルギーを持ちながらも、Adoの卓越した魔術的な歌声にマッチしています。その結果、聴く者の心を強く打ち、広く支持を受けることとなりました。
2020年からの4年間、Adoは間違いなく最も活躍したアーティストの一人です。今回の記事では20曲という制限を設けていますが、そうでなければ、さらに多くの曲を選びたいほど2020年からの4年間でのヒット曲が多いのです。今では、顔出しせずにアーティスト活動を行うことが一般的になりましたが、日本において顔出しせずにAdoほど成功した事例は他にほとんど存在しないでしょう。
King Gnu『SPECIALZ』
リリース日:2023年9月1日
『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」オープニングテーマ
少年ジャンプの大ヒット漫画をアニメ化した『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」のオープニングテーマです。もともとポップソングを中心に活動していたわけではないKing Gnuですが、近年では積極的にタイアップを行いながらも、自分たちの音楽を広く世に届ける覚悟を持って活動している姿が印象的です。
これほど禍々しい楽曲が多くの人に好まれていることは不思議に思います。私もこの楽曲の呪いにかけられて、一人で聴き入ってしまいました。徹頭徹尾不吉さに彩られた世界観は、『呪術廻戦』の世界観を見事に音楽として具現化しているように感じます。
日本ではアニメやドラマの主題歌を、主流のアーティストが書き下ろすことが一般的ですが、これは他の国では珍しいことのようです。アーティストが原作の漫画やドラマの脚本を丹念に読み込み、独自の解釈や創造的なプロセスを経て音楽作品を作り上げるというのは、想像するに非常に大変な作業です。まず、その作品への深い理解がなければ、曲は成立しません。しかも、ただ理解しただけではそのままの曲ができてしまうため、アーティストは自らの感性や創造力を融合させて、独自の楽曲を完成させるのです。そう考えると、この『SPECIALZ』を作り上げたKing Gnuの努力と才能には驚愕をおぼえます。
スピッツ『美しい鰭』
リリース日:2023年4月10日
劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』主題歌
「鰭」という漢字が読めず、私は「美しいすし」と勝手に読んでいました。しかし、この曲が主題歌となった劇場版『名探偵コナン』が大ヒットし、そのムーブメントに乗る形でラジオやテレビから「うつくしいひれ」という曲名を耳にし、「ああ、そういうことか」と納得したのが、もう一年半前のことです。
実を言うと、この曲が収録されているシングル盤の2曲目に収録されている「祈りはきっと」が、私にとっては特別な曲です。当時、少し落ち込んでいた私の心に、この曲の歌詞がまるで福音のように響き、思わず涙してしまったことを覚えています。個人的には、そちらの方が大きな意味で「ヒットしている」のですが、この記事では世間的にヒットした曲を紹介する趣旨なので、やはりこちらを取り上げたいと思います。
YOASOBI『アイドル』
リリース日:2023年4月12日
テレビアニメ『【推しの子】』第1期オープニングテーマ
近年で最もヒットした曲は何だと聞かれたら、多くの日本人はこの曲を選ぶのではないでしょうか。それほど、どこに行っても流れていたのです。あるインタビューで読んだのですが、YOASOBIのコンポーザーであるAyaseは、正直なところ、もうそろそろYOASOBIを終わりにしようと考えていたと語っていました。しかし、この曲を制作することで、自分にはまだまだやれるという確信を持つことができたそうです。
この楽曲の製作には一年半の月日がかかったとのこと。この曲はイントロがないスタイルでおなじみですが、実は当初はイントロが存在していたそうです。また、ボーカルもこれまでのやり方ではうまくいかず、試行錯誤の末にたどり着いた新しい歌い方を採用しました。つまり、YOASOBIは苦心の末に新たなアプローチを見つけ出し、その結果が思いもよらない広がりを見せたのです。
さらに、この曲は2023年の紅白歌合戦でも披露され、乃木坂46、欅坂46、SEVENTEEN、Stray Kids、NewJeans、LE SSERAFIMなど、数多くの豪華アーティストとのダンスコラボが話題となりました。おそらく、一曲の楽曲でこれほど多くの著名アーティストが共演するステージは珍しいことでしょう。ステージの盛り上がりは非常に高く、最後にはまるでお祭りのような華やかさに包まれていました。
米津玄師『KICK BACK』
リリース日:2022年10月12日
テレビアニメ『チェンソーマン』オープニングテーマ
『KICK BACK』は大ヒットアニメ『チェンソーマン』の主題歌で、米津玄師が初めてアメリカでゴールドディスク認定を受けた楽曲です。この曲は、King Gnuのフロントマンである常田大希との共作ということで、さらに大きな話題を呼びました。まさかプロモーションビデオ(PV)でも共演するとは、誰も予想していなかったことでしょう。
実は、米津玄師と常田大希は古くから親交があり、米津玄師の2017年のアルバム『BOOTLEG』に収録されている「爱丽丝(アリス)」でも常田大希が参加しています。二人がコラボしたこの2曲は、2022年の米津玄師のツアー「変身」のツアーファイナル、さいたまスーパーアリーナにてサプライズで披露されました。二人がコラボレーションすると、必然的に激しいバンドサウンドが生まれるようで、『チェンソーマン』の主題歌でもその独特なサウンドがファンの間で高く評価されています。
Official髭男dism『Subtitle』
リリース日:2022年10月12日
フジテレビドラマ『silent』主題歌
フジテレビドラマ『silent』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。このドラマはTVerの見逃し配信で民放歴代最高視聴数を更新し、Twitterの世界トレンド1位を獲得するほど人気を博しました。『Subtitle』という曲名は直訳すると「字幕」という意味で、このドラマの主人公は若年発症型両側性感音難聴により、『silent』な世界を生きる青年です。
ドラマの深いテーマ性を反映したこの曲の歌詞には、複雑な感情が込められています。この曲の歌詞に込められた感情は複雑で、私は完全に理解できたとは思いません。しかし、その複雑さこそが歌詞に深みを与え、多くのリスナーにさまざまな解釈の余地を提供していると感じます。
ポジティブで熱い思いを相手に伝え続けることが相手にとってプラスであるのかどうか。負担になっていないだろうか?ただの独りよがりになっているのでは?そういった内省的な葛藤は多くの人が経験していると思います。サビのワンフレーズ目は非常に的を射た強い言葉として多くの人に響いたのではないでしょうか。まさにこの言葉選びの巧みさがOfficial髭男dismの魅力と言えます。圧倒的な歌唱力とともに、この言葉の力によってこれほどストレートに心に刺さる経験はあまりないと思います。
SEKAI NO OWARI『Habit』
リリース日:2022年4月28日
映画『ホリック xxxHOLiC』主題歌
『Habit』は清々しいまでに芯を食った攻撃的な歌詞が、軽快なテンポでたんたんと歌われています。言葉遊びのラップのような面白さを持ちながら、全方位から感情を逆撫でるような言葉の連打でまくし立てるこの曲には、謎めいた中毒性があり、バンドの新たな一面を見せる作品となりました。
この曲を聴いて、「これって自分のこと言われてるの?」と思った方も多いのではないでしょうか。しかし、なじられているのか応援されているのか、よくわからない複雑な感情にさせられる曲でもあります。それでも最後には、既存の悪習を壊すことで見える希望が示唆されています。そもそもその悪習のばかばかしさを歌っている曲でもあるため、これだけ多くの人が今この曲を好んで聴いているのでしょう。
Vaundy『踊り子』
リリース日:2021年11月17日
ベースの練習中に自然と浮かんできたメロディで、完成までに約2日ほどしかかからなかったというこの曲は、J-POPらしからぬ雰囲気を持っています。こういった声を張り上げないタイプの曲は、日本ではなかなか流行りにくいと個人的には思いますが、意外と、と言ったら失礼ですが、日本でも大ヒットしています。また、2024年にNewJeansの東京ドーム公演の際に、メンバーの一人であるMinjiがカバーし話題になりました。
『踊り子』と対照的なのが、2020年にリリースされた『怪獣の花唄』です。こちらは思いっきり声を張り上げて歌い上げるタイプの曲で、2023年、2024年とカラオケ年間ランキングで一位を記録しています。こうした、幅広い音楽スタイルを作り出せる点が、Vaundyの魅力の一つだと思います。
宇多田ヒカル『One Last Kiss』
リリース日:2021年3月9日
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』テーマソング
シン・エヴァンゲリオンの主題歌として書き下ろされた楽曲。この曲を担当したのは、昔からエヴァンゲリオンのファンであると公言していて、2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』でもテーマソングを担当した宇多田ヒカルです。私はそのことを知っており、宇多田ヒカルとエヴァンゲリオンのファンである私からすると、最後のエヴァンゲリオン作品の主題歌を担当するアーティストとして、これ以上の人選はないと感じました。実際に曲を聴いてみて、その思いが確信に変わりました。
もちろん私はこの曲を劇場で聴きました。シン・エヴァンゲリオンは2021年の日本で興行収入1位を記録した映画です。多くの人がそれを体験したことでしょう。歌詞には「終わり」を意識した言葉が明確に使われており、自己の記録装置としての自分と対峙することを自然と促します。そこにエモーショナルな音楽が重なり、聴く者の心を打ち、それはもう、泣く以外の選択肢がないという状況でした。
ミュージックビデオ(MV)は、シン・エヴァンゲリオンの監督を務めた庵野秀明が手掛けています。MVの撮影はコロナ禍の影響もあり、宇多田ヒカルがロンドンで撮影した映像を庵野監督に送り、編集されたものが作品として使用されています。スマートフォンの自撮りや息子が撮影した映像もふんだんに取り入れられており、普段のMVでは見られない彼女の表情が随所に見られる、非常にユニークなMVとなっています。
ヨルシカ『春泥棒』
リリース日:2021年1月9日
美しい日本語で歌われるJ-POPと言えば陳腐な表現かもしれませんが、ヨルシカの特異さはその繊細な言葉選びにあるように思います。洗練された言葉選びから、勝手に年齢の高い人を想像していたのですが、ヨルシカのコンポーザーであるn-buna(ナブナ)が1995年生まれであることを知り、ああ、これこそが「Bad Habit」だなと少し落ち込みました。
それにしても、たった5分弱という短い時間の中で物語を始めて終わらせるというのは素晴らしい才能だと思います。こういった物語性もヨルシカの特徴の一つかもしれませんね。そう考えると、作者が作品よりも前に出ないように顔出しをしていないという方針も非常に効果的に感じられます。
優里『ドライフラワー』
リリース日:2020年10月25日
この曲はオリコンが発表したカラオケランキングで、2021年と2022年に年間1位、2023年には年間2位を獲得しています。ちなみに2024年も上位10位以内に入ることは間違いないでしょう。つまり、ここ数年で圧倒的に日本人に歌われている楽曲であることがわかります。
日本では、ダンスミュージックよりもカラオケで歌いやすい曲が流行すると言われていますが、この曲はまさにその好例なのではないでしょうか。日本人は、音楽で踊るよりも歌うことを楽しむ文化が根付いているように思います。
今回この記事で取り上げた20曲の多くも、カラオケランキングで上位に入っています。もちろん、「ヒットしているから歌われる」という側面もありますが、「歌いやすいからヒットする」という逆のパターンもあるのではないでしょうか。とくに『ドライフラワー』は共感系の失恋ソングで、気持ちを込めて熱唱しやすいのではないかと考えられます。
Ado『うっせぇわ』
リリース日:2020年10月23日
Adoの『うっせぇわ』を初めて耳にしたとき、私は正直、コミックソングの一種かと思いました。たしかSpotifyの「New Music Wednesday」という日本の新曲を網羅するプレイリストに入っていて、特に深く考えずに再生した記憶があります。しかし、この曲は他の楽曲とは一線を画していました。そのインパクトは、まるでスーパーのお菓子売り場で誰かが置き忘れた大根を見つけたときのような違和感と驚きがありました。
当初、私は「この曲を歌っているのはその界隈で有名な誰か」くらいに思い、特に注目することもなくスルーしてしまいました。しかし、この曲は瞬く間に世間に浸透し、2020年~2021年を象徴する一曲となりました。ネット界隈のみならず、テレビやラジオでも『うっせぇわ』が話題に上がり、誰もが口ずさめるほどの人気を博しました。2021年、『うっせぇわ』は流行語大賞にもノミネートされたほどです。
その後の4年間でAdoは日本の音楽シーンに欠かせない存在となり、誰もが知るアーティストとなりました。それでも、まさか彼女がこのリリースから4年後に、ワールドツアーを成功させ、さらにはイマジン・ドラゴンズとコラボする日が来るとは、当時誰も予想できなかったのではないでしょうか。
LiSA『炎(ほむら)』
リリース日:2020年10月12日
映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』主題歌
2019年放送のテレビアニメ版『鬼滅の刃』の主題歌として使用された『紅蓮華(ぐれんげ)』に続き、2020年10月16日に公開された劇場版『鬼滅の刃』の主題歌として使用されたこの曲も、日本中で大きな話題を呼びました。この曲の歌詞は映画の内容と非常にリンクしており、エンドロールでこの曲を聴きながら涙した人も多いのではないでしょうか。
LiSAはこの曲の作詞にも携わっており、作詞に関与することで、より感情を声色に乗せやすくなったのではないかと思います。その結果、彼女の卓越した歌声がより一層引き立っているように感じます。また、LiSAの赤色の髪色や衣装と、鬼滅の刃の主人公の竈門炭治郎の市松模様の緑色の衣装がセットで記憶されている方も多いのではないでしょうか。
劇場版『鬼滅の刃』はコロナ禍の中で公開され、海外作品の公開が減少するという特殊な状況も相まって、日本の映画興行収入歴代1位という記録を打ち立てました。また、この映画は2020年に公開された映画作品として、世界で最も高い興行収入を記録しています。私自身も劇場で2度観ましたが、若者だけでなく年配の方々が多く鑑賞していたのがとても印象的でした。普段アニメを観ない層にもリーチできていたことが、歴史的な大ヒットにつながったのでしょう。
BTS『Dynamite』
リリース日:2020年8月28日
この曲『Dynamite』は、世界的な大ヒットを記録しましたが、日本でも例外ではなく、街中の至るところで耳にする時期がありました。特に、リモートワークの拠点として利用していたカラオケ店では、この曲がBGMとして頻繁に流れていたことが印象に残っています。そのカラオケ店は残念ながらコロナ禍の影響で廃業しましたが、この曲が当時の暗い状況を吹き飛ばすような明るい楽曲だったことは、象徴的でもあります。
BTSは『Dynamite』以前から日本で高い人気を誇っていましたが、この曲をきっかけに、若者層だけでなく幅広い世代に受け入れられるようになったと言えます。例えば、中高年層がメインターゲットの昼間のラジオ番組でもK-POP特集が増え、パーソナリティが楽曲を推薦する場面が増加しました。かつて邦楽以外の音楽と言えばアメリカやイギリスが主流でした。しかし現在は全く違います。『Dynamite』はK-POPが日本市場に広範囲に浸透する流れを加速させる決定的な一曲となったと感じます。
米津玄師『感電』
リリース日:2020年7月10日
TBSドラマ「MIU404」主題歌
3年ぶりの新アルバム『STRAY SHEEP』に先駆けて配信された楽曲です。YouTubeでミュージックビデオをリアルタイムで視聴し、その後5回ほどリピート再生したことを覚えています。今までの米津玄師にはなかったジャズやファンクの要素がふんだんに取り入れられたこの曲によって、新アルバムへの期待が一気に膨らんだことは言うまでもありません。
米津玄師の音楽は驚くべきスピードで変化しており、アルバムごとにその色や質感、メッセージ性が明らかに異なります。まさにこの曲は、その大きな変化のただ中にある米津玄師の楽曲の最先端を行くものであり、それが私の聴覚を刺激し、脳を混乱させたことを鮮明に覚えています。結局、『STRAY SHEEP』はCDセールスが200万枚を超え、日本で近年最も売れたアルバムとして大きな反響を見せました。
藤井風『死ぬのがいいわ』
リリース日:2020年5月20日
この曲『死ぬのがいいわ』はリリース直後にヒットしたわけではなく、約2年の時を経てアジア各地でバズり、大ヒットとなりました。藤井風は2020年時点でも一定の人気を誇っており、2021年には紅白歌合戦にも出場していますが、2022年に『死ぬのがいいわ』がアジアでヒットしたことで、逆輸入的に日本国内での認知度が大きく加速したと言えるでしょう。『死ぬのがいいわ』が他国で聴かれていることは、テレビやネットニュースでも頻繁に取り上げられていました。
さらに、この曲は藤井風の1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』に収録された楽曲の一つで、シングルカットされていないことも特筆すべきポイントです。日本語で歌われた現代のアルバム曲が異国で支持され、これほど広がりを見せるのは興味深いことです。しかも、タイのTikTokユーザーが「推し活動画」のBGMとして使用し始め、自然発生的に流行したという経緯も面白いですよね。
2024年の彼の音楽の魅力を存分に味わいたいなら、このビデオが役立つでしょう。2024年に収録されたTiny Desk Concertsの映像は、30分ほどの短いライブですが、彼の音楽スタイルの多様性と音楽への愛情がしっかりと伝わってきます。藤井風の新たな魅力を感じることができるでしょう。
2020年代の音楽シーンを振り返って
2020年代を代表する日本のヒット曲20選、個人的にはかなりいい感じのリストになったなと思います。Spotifyのプレイリストも公開しているの、よければチェックしてみてください。
今回のリストは、街中や映画で耳に残る曲、そしてYouTubeやSpotifyで再生数1億回を超える人気曲を基準に選びました。もちろん、ヒット曲の定義や選曲の基準は人それぞれ。今回のリストも、あくまで私の主観と客観データを融合させたもので、全ての名曲を網羅することはできません。それでも、この記事を通じて「あの頃の思い出がよみがえった」「こんな曲があったのか」「もうすでに懐かしい・・」と思っていただけたなら嬉しいです。
これからも音楽は時代とともに進化し続けます。次の10年にはどんな新しいヒット曲が生まれるのか、楽しみですね。ぜひ、あなたのお気に入りの2020年代ヒット曲もコメントで教えてください!
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